蝋燭

机で燃やしていた蝋燭が、自ら溶かした蝋に溺れて消えてしまった。蝋燭ではなくキャンドルという名前で売られていたそれは、安物だから芯が短いのだった。それに自分を重ねてしまったことに驚いて、蝋をいくらか捨てて何度か燃やしなおした。

 

25日にホラー映画を見ていたら、たまたま映画のエンディングの日がクリスマスだった。吉祥寺で買った古本を読んでいたら、主人公が吉祥寺で暮らし始めた。初詣の帰りの一本道の先に夕日が沈みかけていた。

 

ずっと、寝つきが悪い。布団に入っても、どうやって眠るのか思い出せない。ようやく寝たら、夢の中でも布団に入っていた。現実と違うのは、夢では布団にいたままでも何かしらが起こるってことだ。

 

吹雪が唸っている。自室の壁も、道端も、大学の机も、これを打ち込む画面も、みんな白い。布団から見あげる天井も。電気を落として目蓋を閉じても、白が視界にこびりついている。切ったストーブから、蝋燭の残り香が鼻をかすめていった。