短歌連作:青色忌

 

物心つくまで青が見えなくて砂浜の貝くちにいれてた


新しい居場所の契りこの紙に青年月日を記入しなさい


百幾つ元素はあれど青色の塑像のためにあるものはなし


老いてなほ僕は僕はと言ひたがる青色すべて僕のものでも


芒だけ目を伏せている荒野には青色忌なる夜の行列


ずれていた側のひとらしい ふるさとの墓はなくとも青色忌あり


大根に青色の陰 死んでいるかもしれないが切らせてもらう


参列を終えて青色線香は大人になってなにをしようか


先週もみた墓の前 たちくらみ 青いペンキをぶちまけている


青空と海には君が溶けていて僕らは今日も出社している