レモネード

目が疲れてきて、グラスの液体をぐいと飲み干す。買ってきたレモンを砂糖と一緒に瓶詰めして放置した、そうしてできた液体とスライスレモンをグラスにいれて水道水を注いだだけのレモネード。ぬるい酸味の後にどんよりとした甘みが残るだけの液体。

 

あまり出歩かないから、毎食自炊をして、食材など仕込んで、ストレッチを何分もかけてして、高頻度で片付けをしている。家具や食器にこだわっていないことや、起きるのが午後であることなどを除けば、いわゆる丁寧な暮らしに接近している。毎日が過ぎるほど、自分には合っていないと思う。

 

丁寧な暮らしというのは、毎日の何でもないことのクオリティをあげることで、特になにもない毎日をある程度の楽しさが続く毎日に変えるという指向だと思う。逆にいえば散財や激しいライブなどの瞬間的で大きな楽しさを否定しているように感じる。こんなことで、この程度の楽しさで、満足したくないというのはきっと長期的にみれば苦しいとは考えるけれど。小さな快感に飼いならされたくない、というのは割と理解されるのではないだろうか。

 

バブル崩壊後の「終わりなき日常」は3.11後から「終わりなき非日常」になった感があって、いい加減その雰囲気をやめたいと思っている。大人になるのはきっと日常を受け入れること。自分と理想の違いに悩むことから現実と理想の違いに悩むようになること、それは自分と現実が同値になること、それは自分が逃げている未来のこと。

 

身体的には4月よりずいぶんマシになって睡眠障害もあまり気にならなくなった。暗くした部屋の布団で考えるのはいつも同じ人のことで、その瞬間に昨日も一昨日も一週間前も混ざって混乱する。すこしずつ心はダメになっていて、それは彼女がくれたこぶ茶のパックのようにわかりやすい減り方はしていなくて、ただ最近は1日に何度か野菜室で余っている1つのレモンをどこに置いてこようか悩んでいる。