外は白い雪の夜

洗濯物を干すと、窓が少しずつ白く曇ってくる。外はますます雪が強くなる。薄暗い部屋で、僕は本から顔をあげて暖房をつける。引っ越してから1度も洗っていないカーテンを閉めて、また下を向いた。

 

毎日同じような生活をしている。毎日映画を観ることで、代わり映えしない日々を「この映画を観た日」として着色する。2日連続で詰まらない映画を観てしまったから、友人を誘って飲みに行くことにした。切実なことなんて何もなかった。

 

もうすぐ4年生だが、僕はまだ大学生になれていないんじゃないかと思う。理想の大学生活みたいなものを未だに考えてしまう。僕の中の大学生は2人いて、そのうち1人は東京に、1人は京都にいる。東京にいる自分はまだギターを背負っていて、吉祥寺の古本屋に入り浸っている。酔っ払った日には井の頭公園を歩く。京都にいる自分は昼まで部屋でゴロゴロしていて、夕方は散歩に出かけている。やっぱり古本屋には通っていて、本の山がじわじわと布団ににじり寄っている。

 

東京に帰ってもみんな忙しそうで、それを社会の外から眺めている。夜通し歩くことも、遠出をすることも、もう1人でしか出来ないのかもしれない。カーテンの隙間からは、結露のせいで何も零れてこなかった。