ラストワルツ

別れた日から日記を書いていない。ちょうど2年くらい続いていたのだけど。書く気力がなくて溜めていたのが、次第に自分の書く日記に興味が無くなってしまった。自分の文章の癖みたいものがもうある程度分かっていて、予想出来るものを書いて何になるっていうのだろう。

 

4月になってからの自分はラボに行くようになり、午前中に起きるように努力し、筋トレを始め、北海道のボロい温泉をググり続け、断酒をやめ、毎日長い夢を見る。長い割にはドリームポップみたいに消えてしまう夢だった。目覚める時には「ああ、こっちが現実か」という憂鬱がある。

 

夢の中で会う人の半分は現実の知り合いで、4割はまったく知らない人で、1割は夢でしか会ったことがない人だ。現実で会ったことないのに夢で会う人は、僕が覚えていないだけで実在するのだろうか。今日道ですれ違った人の顔なのだろうか。知り合いの顔の寄せ集めなのだろうか。僕が昨日の夢で荷物を持たせた彼はいずれ会えるのだろうか。

 

夢の景色は印象派みたいに細部を思い出そうとするとドンドン滲んでしまう。4日前に見た夢は細部どころかストーリーも背景も覚えていないけれど、そこで見た女性の顔だけが今も覚えている。夢判断をするならそれは倖せのメタファーで、起きた時には現実がほとほと嫌になった。

 

4月になって分かったのは筋トレでは憂鬱も寝付きも食欲も変わらないことくらいで、僕の憂鬱がその程度でなかったと安心する自分がいることは前から知っていたことだった。