いずれ灰になる

重い体を引き起こして開けたカーテンの向こうは、曇り空だった。その灰色は僕の布団カバーの灰色と同じ色で、布団と雲に挟まれた僕も灰色に飲み込まれて温泉地の泥みたいにぬかるんだ存在になったようだった。雲の見えない布団の外に抜け出して、立ちくらみのままにシャワーを浴びた。

 

先週くらいからすっかり冷え込んでいて、体も冬眠を求めているかのように重い。午前中に大学へ行かねばならない日が幾度かあり、その日は脳幹がすべて脱脂綿になったかのようだった。今週は睡眠の質が特に悪く、何時間も寝付けなかった次の日には夜中に目覚めて眠れなかった。何時間も眠れないと自分の連想力に情けなくなり、挙句安眠しているであろう友人への怒りすら湧いてくる。自分しか知らないことを、自分しか知らないまま抱えてかなければならないのに。

 

この時期の気温は、昼も夜も不安と同じくらいの寒さで散歩するにも静かでいい。昨日も誰かの誕生日で、僕も誰かの幸せを願った。その人の今後の幸せが、人生の不幸を圧倒する量でありますように。出来ればその幸せが美しいものでありますように。隣の部屋からは、今日も酒を注ぐ音が聴こえる。