街は

冬になると街路樹なんかがイルミネーションとして光っているのが嫌だ。果たして、あれを本当に綺麗だとかロマンティックだとか思っている人がどれだけいるというのだろう。イルミネーションが綺麗だという刷り込みがなければ、気味が悪いのでは?

 

こんな文章を先月書いて放置していた。自分も恋人とイルミネーションを見にいった過去を棚に上げてなにを言っているのだ、と思うけれどもとりあえず付けておいたかのような気合のないイルミネーションを見ると毎年馬鹿らしい気分になるのも確かだ。あんな明かりよりも、ビルの合間を埋める空の薄白い雲のほうがよっぽどロマンティックだということに気づくほうがきっと素敵なことだ。

 

雪が積もると夜が明るくなって、新月に近い晴れた夜にはマグリットの絵のようになる。雪のない前提でつけられた街灯が多すぎて、部屋のカーテンを閉めても暗闇にはならないし、外から滑り込んだ明かりが天井に描く模様も見飽きてしまいつつある。

 

今日はどうやら特別の日であるらしく、親からも浮かれたLINEが来た。自分は変わらぬ日常を過ごしていて、それに慣れた自分Bは自分Aがはしゃぐことを許さなかった。ここ1年間で最長記録更新中である断酒の途中であるし、たいした食欲もなく、本屋に行ってみたものの何も買わなかった。年賀状を買いに行ったはずなのに忘れていた。あなたに素敵なことはありましたか?自分は明日も、今日のレプリカみたいな時間がくるよ。